本と映画と博物館– category –
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通史・足尾鉱毒事件1877〜1984<東海林吉郎・菅井益郎>
■世織書房20230801 田中正造記念館のスタッフに「足尾銅山鉱毒の全体像を知るのにおすすめ」といわれて購入した。1984年出版だが東日本大震災後の2014年に復刊した。 足尾銅山の開発は1610年ごろはじまり、銅の5分の4は幕府御用、残りはオランダに輸出さ... -
水底の歌 柿本人麿論<梅原猛>
■新潮文庫20230727 松尾芭蕉とならぶ日本最大の詩人である柿本人麿は長らく、島根県益田市の高津川河口の鴨島で死んだとされてきた。だが、そんな辺鄙な島で国府の役人が死ぬわけがない、と、斎藤茂吉は、海辺ではなく江の川上流の湯抱で人麿は死んだと... -
山に生きる 福島・阿武隈 シイタケと原木と芽吹きと<鈴木久美子・本橋成一>
東京新聞の女性記者が、阿武隈山地の里山の人々と、稀有な写真家の導きで成長する物語だ。 舞台は福島県の阿武隈山地にある旧都路村(2005年から田村市)。 都路は、全国でも有数のシイタケ原木の産地だった。「シイタケを栽培するための原木の一大生... -
出雲と大和 古代国家の原像をたずねて<村井康彦>
■岩波新書20230711 古典や神社の文書などの引用が多くて、読みやすいとはいえないけれど、中身は刺激的だった。 奈良盆地の、三輪山の大神神社や葛城の高鴨神社といった神社の祭神が出雲系で、丹波や富山、吉備、「国譲り」以前の伊勢にまで出雲系の信仰... -
二上山<田中日佐夫>
■学生社20230629 二上山と、中将姫伝説のある當麻寺、大津皇子について知りたくて購入した。1967年が初版だが、1999年に再版し、解説をくわえている。 二上山の西側、大阪府太子町の「山田」一帯には、敏達天皇、孝徳天皇、小野妹子、推古天皇、用明... -
大重潤一郞監督のドキュメンタリー2作 基地や公害を民俗誌的な深みで描く
1970年代の制作当時未発表だった大重潤一郞監督のドキュメンタリー2本を鑑賞した。以下感想です。 能勢 能勢ナイキ反対住民連絡会議 ナイキJは、アメリカの核ミサイルから核を抜いた国産ミサイルで、1970年に能勢町への配備計画があきらかになった。... -
グアテマラの虐殺を魔術的にえがく「ラ・ヨローナ〜彷徨う女」<ハイロ・ブスタマンテ監督>
ラ・ヨローナ(泣く女)とは、夫に捨てられた女が、子どもを溺死させて自らも自殺し、ずぶ濡れの白い服をまとう亡霊となってあらわれる、という中南米では有名な伝説だ。ガルシア・マルケスの魔術的な世界にもつながるこの伝説をベースに、グアテマラの... -
異界・怪異は今もつづく……大阪歴史博物館の特別展
岩手県遠野市のカッパ淵は、最近まで河童の存在を信じられていたあかしだった。みなが信じているものは社会のアクターとして「存在」する。怪異現象が「現実」だった時代は実は今もつづいている−−。 そんなテーマをとりあげた大阪歴史博物館の「異界彷... -
ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫 世界のあるきかた<梅棹忠夫著、小長谷有紀・佐藤吉文編>
■勉誠出版20230501 私が学生時代、梅棹先生は雲の上の人で、2度か3度、講演会などで目にしただけだが、圧倒的な語りに魅了された。 梅棹は「あるきながら、かんがえる」という。彼が世界をどう見て、どのような調査をしていたのか。彼ののこした文章と... -
「親鸞聖人生誕850年特別展 親鸞─生涯と名宝」で、浄土真宗=プロテスタント=火葬、という妄想三昧
「親鸞聖人生誕850年特別展 親鸞─生涯と名宝」(京都国立博物館)へ。 手紙やらなんやらの地味な展示だろうから当初は興味をおぼえなかったが、福島の浜通りに、北陸や新潟の真宗門徒が大量に移民したという歴史を知って、親鸞の教えがムラにもたらし...