本と映画と博物館– category –
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谷崎潤一郞記念館特別展「潤一郎、終活する~文豪谷崎 死への挑戦~」
無類の女好きだった谷崎がどんな「終活」をしたのか興味があって、芦屋市の谷崎潤一郞記念館を20年ぶりにたずねた。 谷崎は1915年、30歳で千代子と結婚して娘・鮎子が生まれた。だが、良妻賢母の妻とはあわず、奔放な妻の妹のせい子にいれあげ... -
能登デモクラシー<五百旗頭幸男監督>
私は新聞記者として奥能登の4市町を担当していたが、穴水町は話題の少ない、おだやかな町だった。 能登は全体に保守的で、役所がいばっていて、議会はなぁなぁなのだが、珠洲市には原発問題、輪島市では震災がれき問題があったから「野党」が存在した... -
傷を愛せるか<宮地尚子>
■ちくま文庫250518 「弱いまま、強くあるということ」がテーマ。 「強いまま強い」人は、他者の痛みや弱さを想像できない。だから人とつながれない。自分の「強さ」を凌駕する力に襲われたらポッキリ折れる。人とつながるには「弱さ」という傷を自覚し... -
Buena Vista Social Club Broadway Review2025
NYでミュージカルを見た勢いで、ブエナビスタの経緯を知りたくて購入。おなじことを何度もくりかえしていて冗長ではあるのだけど、くりかえしのおかげで英語でも理解しやすかった。大ざっぱな歴史を知るにはよいパンフレット。パンフレットにしては20... -
民具のミカタ博覧会 (国立民族学博物館)
1970年の大阪万博のために岡本太郎が発案し、梅棹忠夫と泉靖一が指導したEEM(日本万国博覧会世界民族資料収集団)による世界の民具と、宮本常一らが収集した武蔵美術大の9万点の民俗資料(ムサビコレクション)から抜粋して展示している。 メキ... -
メトロポリタン美術館 NY散歩06
メトロポリタン美術館へ。すさまじく大規模な美術館が、公立ではなく私立だというのは驚き。 最初のコーナーは、エーゲ海の古代キクラデス(Cycladic)文明。紀元前3000年というから日本は縄文時代だ。出土した像は女性がきわめて多い。ことごとく... -
生きし証よ永遠に<高本たつ江>
■250411 静岡県の藤川村(川根本町→島田市)で生まれた高本鷹一さん(1915〜2019)の103年の人生を本人の文章や短歌、絵をもとに娘がまとめた。 川の事故で34歳の父を6歳のときに亡くし、母から百人一首の手ほどきをうけて短歌にのめりこ... -
みんなのセルフタッチング<中川れい子>
■日貿出版社250410 阪神淡路大震災で「人と人が寄り添うことが力になる」と実感し、「タッチケア」の活動をはじめ、東日本大震災では、タッチケアの手法をまとめた小冊子被災地へ届けた。 たが、新型コロナのパンデミックで「タッチ」が不可能になった。... -
死に向き合って生きる<島薗進>
■NHKテキスト250408 いかに死に向き合うか、詩歌や小説、映画などを通して考える。 「死を見つめよ」というメッセージはラテン語の「メメント・モリ」、日本語の「無常」など古くからあり、20世紀前半にはやった実存主義は、死を前にしていかに生きる... -
日本人の死生観Ⅱ霊性の個人史<鎌田東二>
■作品社250405 自らの歩みとがんの体験をもとに死生観をうきぼりにしていく。 世間知らずの女子学生をつれて、佐渡から隠岐まで島渡の逃避行をするなどのハチャメチャぶり。その枠からはずれた破壊力を自覚して「スサノヲの弟子」を自称する。 22歳...