¥ 沖縄に来たら沖縄そば。そばといっても原料はそばではない。
今回最初に食べたのは残波岬の手前の「御菓子御殿」という施設にある「花笠」という食堂だった。
ラフテー(三枚肉=ばら肉)と、ソーキ(スペアリブ)と軟骨部分のソーキの3種類の肉をのせたぜいたくなそばとジューシー(たきこみごはん)のセットは850円。
沖縄そばは、豚とカツオで出汁をとっているのに、豚骨ラーメンとはちがって、きれいに脂を除いてるからあっさりとおいしい。塩分控えめで出汁の味がやさしい。
翌日は、那覇市の海辺にある波上宮の目の前にある古びたお店「まるや食堂」に入った。「花笠」に比べると塩分が濃いめだ。麵がちょっと柔らかい。ソーキソバは750円。
よく考えたら、沖縄そばには「そば」は入っていない。原料は小麦粉だからうどんやラーメンといっしょだ。
県立博物館の説明書きによると、明治中頃から那覇で営業した「しなそば」がはじまりで、戦後になって現在の形になり、「沖縄そば」の名が定着するのは本土復帰後なんだそうだ。1986年ごろに上海などで食べた素朴な麵に似ているのはそのためなのか。
同じ小麦が原料でも、うどんは塩水でのばし、ラーメンはかん水でのばす。沖縄そばは灰汁でのばすといわれているが、最近はかん水を使うことが多いらしい。そこにも中華麺の影響が見える。
3日目は首里城の近くにある「首里そば」に入った。10年程前に来た時は行列ができていて入るのをあきらめた。今回も店はほぼいっぱいだ。
「首里そば」の大中小があるだけ。首里そば中は500円、大は600円と安い。
汁はきれいに透き通り、手打ちの麵はしっかりとこしがある。三枚肉の脂身は脂が脱けてコラーゲンになってほろほろとほどける。出汁の風味が抜群で、汁もきれいに飲み干した。
今まで食べた沖縄そばで一番おいしかった。
飲み屋街にある24時間食堂の「いちぎん」のそばは名護風という。透明できれいなスープで、まっすぐでなめらかな麵が飲んだあとにピッタリだった。
変わり種は牧志公設市場2階のがんじゅう堂の野菜そば。
めずらしくちぢれ麵でツルツルの舌ざわり。製麺業者に特注した生麺にこだわっているらしい。
スープは、ふつうの沖縄そばよりも豚骨スープに近くて、きれいな味だけどこくを感じる。沖縄そばというより上品な中華そばだ。カツオとアグー豚の骨でだしをとっているという。