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小さな家の思想 方丈記を建築で読み解く<長尾重武>
■文春新書250909 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし」につづく一節は「世の中にある、人と栖と、またかくのごとし」だ。鴨長明は人生とともに「すみか」に... -
円空展330年の祈り <美術館「えき」KYOTO>
円空展は2022年に大阪で見た[https://bohemian.r-lab.info/?p=1320]。今回は8月30日、京都駅の美術館で開かれた「円空展 330年の祈り」を訪ねた。前回意識しなかった「お味噌のにおいのする」像の魅力が見えてきた。 円空(1632〜16... -
「方丈記」 3メートル四方のすみかの意味
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし 「方丈記」の冒頭は暗記していたけど、これにつづく一節が 世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし だと... -
「ボランティア」を考える安富信さんの講演
神戸学院大の安富信さんの「ボランティアを考える」という講演は痛快だった。能登半島地震におけるボランティアのあり方について感じたモヤモヤしたものがいったいなんだったのか。霧を吹き飛ばすように解説してくれた。あと、メモを一切見ないで芸人の... -
方丈記と住まいの文学 放送大学叢書<島内裕子>
■左右社250905 方丈の庵のことを知りたくて買ったが、「方丈記」の住まいの描写が現代にいたるまで影響を与えてきたかを紹介する本だった。退屈な部分も多かったが、芭蕉と漱石が方丈記つながることや、鴎外の娘の森茉莉を鴨長明の「真の後継者」と位置づ... -
若冲の五百羅漢は縄文系?
岡本太郎が縄文を「発見」したのと同様、辻惟雄は、伊藤若冲や長沢蘆雪を「発見」した。辻が1968年に「美術手帖」で紹介した当時、若冲らは「傍流」「異端」とされ、国内では評価されず、多くの作品が海外に流出していた。 若冲は、古画の模写ばか... -
かつお節と日本人<宮内泰介、藤林泰>
■岩波新書250810 かつお節とモルジブの関係を知りたかったが、この本は明治以降の話が中心だった。でも知らない話が次々に出てきておもしろかった。 乾燥しただけのかつお節の原形は上代につくられていたが、生産地が増え、流通と販売の担い手が登場し... -
鰹節 ものと人間の文化史<宮下章>
■法政大学出版局250826 鰹節のすべてがわかる本。映画監督の大重潤一郞はおそらくこの本を読んだのだろう。 縄文時代からカツオを食べ、奈良・平安以前には「堅魚(かつお)」と書かれる製品が、伊豆、土佐、紀伊などから朝廷へ貢納されていた。これら... -
3つの氷川神社と見沼めぐり
さいたま市の氷川神社は、埼玉と東京を中心に約250社をかぞえる同名の神社の元締めだ。明治になるまでは、社格が同格な3主座・3神主制だった。現在の氷川神社の位置にある男躰宮が須佐之男命(すさのおのみこと)、3キロ南東の簸王子宮(現在の中山神... -
増上寺も東京タワーも縄文の聖地
死霊のシンボル 東京タワー 最高気温37度、灼熱のJR浜松町駅から西へ10分ほど歩いた芝公園ではミンミンゼミとアブラゼミの声が響いている。大阪とちがってやかましいクマゼミがいないだけで、ちょっとは涼しくかんじる。芝公園の隣の高台に増上寺が...