fujiman– Author –
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本と映画と博物館
鬼とはなにか まつろわぬ民か縄文の神か<戸矢学>
■河出文庫251208 都では追儺や御霊会のように鬼を魔物として退治する祭りが盛んだが、地方ではなまはげのように鬼(来訪者)を歓迎する祭りが多い。 ヤマトでは、古来の神を悪鬼として追いやり(追儺)、新しい神に従うものはヤマト人とされた。従わぬ... -
本と映画と博物館
大井川に橋がなかった理由<松村博>
■創元社251210 大井川に橋も渡船もなかったのは、軍事的配慮といわれている。その根拠として、1626年、新旧将軍の家光と秀忠が上洛した際、家光の弟の駿河大納言・忠長が大井川に浮橋を架けた。これにたいして秀忠は「大井川は街道の難所であり、関所... -
能登2011〜24
人の消えた里で寺ときずなの再生模索 輪島市・南志見
2011年の西光寺。地震で本堂はなくなり、手前の墓地も被害をうけた 能登半島地震で全住民700人が集団避難した輪島市・南志見(なじみ)地区では、豪雨被害もかさなって、住民の姿が消え、大半の寺が無住になってしまった。南志見川沿いにある西光寺も... -
02ルポ
怨霊が支配する古代 怨霊をよぶ現代
長岡京を廃絶させた親王の怨霊 上御霊神社 京都市上京区の上御霊神社(御霊神社)は、まちなかなのに社叢はうっそうとして薄暗い。十三柱の祭神の中心は桓武天皇の弟で、冤罪で非業の死をとげた早良(さわら)親王(崇道天皇)だ。 桓武は奈良から長岡... -
本と映画と博物館
バリ山行<松永K三蔵>
■講談社251130 甲子園口にすんでいて、芦屋からロックガーデンをへて有馬温泉まで歩き……と、30代の私とおなじ生活圏でおなじような山歩きをしていることにまず親近感をおぼえた。あえて登山道を通らない山歩きも、一時期やってみたことがあったが、私は... -
本と映画と博物館
災害ボランティア<渥美公秀>
■弘文堂2511 2014年出版だから、東日本大震災までのボランティアの流れと課題が網羅されている。 1995年の阪神・淡路大震災以降、災害ボランティアは定着してきたはずだったのに、東日本大震災では、自粛ムードによって初動が遅れた。2024年... -
能登2011〜24
海中を舞う「日本一」優美なキリコ
珠洲市宝立町の見附島はその形状から「軍艦島」とよばれる。その北にある海岸では8月はじめ「七夕キリコ」がもよおされる。この地区の七夕は盆の準備をはじめる日で、祖先の霊をむかえる行事とされている。提灯やぼんぼりでかざられた高さ約14メート... -
01旅行記
フォッサムグナに栄えたヒスイの王国の巫女王
出雲王国が広範囲に影響をおよぼしたことは神話がしめしている。出雲の神々が、朝鮮半島や能登半島に大きな綱をつけて土地を引っぱってきて島根半島をつくった(出雲国風土記)。さらに、八千矛の神(大国主命)が、「越(こし)の国」にかしこくて美し... -
本と映画と博物館
奴奈川姫とヒスイ文化 総集編<土田孝雄>
■奴奈川姫の郷をつくる会251120 出雲とのつながりやフォッサマグナが生みだしたヒスイと信仰の関係を知りたくて奴奈川姫伝説のある糸魚川を訪ねた。地元の民俗資料館でこの本を入手した。 昭和14年までは日本ではヒスイが産出するとは思われていなかっ... -
本と映画と博物館
「月よ私をうたわせて」出版3周年記念LIVE「サバイバーたちの明日へ」
ミュージシャンの娘の半生を母がつづった「月よ私をうたわせて」(あする恵子)の出版3周年を記念するライブに参加した。「自死」という重い現実のなかから「生きぬく」大切さと美しさを伝える3時間だった。(本の感想はコチラ) 本の主人公のえさん...