本と映画と博物館– category –
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「真宗移民」の歴史から何を学ぶか 報徳仕法の原動力にもなった宗教移民の研究を眺望する<太田浩史>
■20230426 福島第一原発事故の取材で訪れた南相馬市は、外の人も受け入れる気さくな人が多かった。昔から外からの人をうけいれてきたからだという。 江戸末期には間引きなどによる人口減少で荒廃していたムラを、北陸や新潟からの「真宗移民」が再生させ... -
最後の人 詩人・高群逸枝<石牟礼道子>
■藤原書店202303 高群逸枝と石牟礼道子は出会ってはいない。でも石牟礼は高群を母か姉のように思い、逸枝とその夫の橋本憲三は石牟礼のことを後継者のようにかんじていた。 逸枝が亡くなった2年後の1966年、道子は逸枝と憲三の住まいだった東京・世田谷... -
新版 死を想う われらも終には仏なり<石牟礼道子、伊藤比呂美>
■平凡社新書20230320 シャーマンのような石牟礼と、娘世代の詩人伊藤の「死」をめぐる対談。 いつも「死」の隣にいて、死のうとする人によりそい、自らも自殺未遂をくりかえした石牟礼だからこそ、伊藤の「死」についての直球の疑問に真正面からこた... -
評伝・石牟礼道子 渚に立つひと<米本浩二>
■新潮文庫20230317 はじめは新聞記者の文章だなぁと思って読みはじめた。ところがしだいに石牟礼道子や渡辺京二が乗り移ったように現実と幻の境をふみこえたり、もどったりする。 正気と狂気、この世とあの世、前近代と近代、陸と海のあいだの渚。 合... -
協同の系譜 一楽照雄<佐賀郁朗>
■(日本農業新聞) 農協の中枢にいて政治とも密接なつながりもっていた一楽照雄がなぜ、政治的には革新に近い、ある意味で農協と敵対する有機農業研究会をたちあげたのか、以前から不思議だった。 この連載は、戦前から「協同組合主義」を体現し、協同... -
ピカソはへたくその代名詞だったのに……「ピカソとその時代」の感想
ドイツのベルリン国立ベルクグリューン美術館のコレクションをあつめた「ピカソとその時代」を見に行った。ほとんどの展示品が撮影可というのがすごい。 子どものころピカソは「へたくそ」の代名詞だった。「うわー、なにこれ、ピカソの絵みたい!」と... -
ナチスのキッチン「食べること」の環境史<藤原辰史>
日本の公団団地やマンションのダイニングキッチンや「システムキッチン」は、20世紀前半のドイツの合理的キッチンがモデルという。そのキッチンはアウトバーンと同様、ナチスがつくったものだったというストーリーかと思ったらむしろ逆だった。 機械の... -
ETV特集「消えゆく“ニッポン”の記録~民俗学者・神崎宣武~」
宮本常一の弟子だった民俗学者の神崎宣武さんは、郷里の岡山・美星町の宇佐八幡神社で神主をしながら東京を拠点に全国の民俗を調査している。東京の花柳界やテキヤなども調査し、これまでに60冊以上の本を書いてきた。 神崎さんという民俗学者をとおし... -
■時間は存在しない<カルロ・ロヴェッリ、富永星訳>
時間や空間の大きさは絶対的であるというニュートン力学は、アインシュタインの相対性理論によってくつがえされた、ということは知っていた。では時間とはなにか? 生と死とはなんなのか? 「死後の世界」をどう解き明かすのか? この本の結論は「絶... -
茨木のり子の「詩のこころを読む」は長大な一篇の詩
「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」で有名な茨木のり子は昔から好きだったが、彼女が好きな詩ってどんな詩なんだろう? そう思って手にとった。 「生命」をめぐる詩にまずひきつけられる。「空の世界からきて、空の世界にかえっていく。だ...