穴水・曽良の千手院で「左義長」復活

  • URLをコピーしました!

 穴水町曽良の海臨山千手院で2月15日、初の「左義長」がもよおされた。
 左義長とは、地域によってはどんど(とんど)焼きともよばれ、小正月を中心におこなわれることが多い。正月の門松やしめ縄、熊手、前の年にもらったお守りや古いお札などをもやし、その年の健康や幸福を祈願する。

 午前10時すぎ、海岸段丘上の千手院には、鐘楼の前に火をともしたドラム缶と祭壇がもうけられ、地元の人たち20人ほどがあつまっている。荒れはててネズミの糞があちこちにころがっていた本堂はボランティアの手によってすっかりきれいになった。

 住職の北原密蓮さんはが周囲に結界をはり、般若心経を唱える。それから住民たちが家々からもちよった御札や正月飾りをドラム缶の火にくべていく。

 曽良は伝統行事や祭りがさかんな地区だったが、過疎と高齢化でほとんどの行事は消えてしまった。海辺でもよおしていた左義長も長らくとだえていた。隣の甲地区の左義長に古い御札をもっていくしかなかった。80代のおばあさんはうれしそうに言った。
「御札やお守りは神さまのものだからすてられず、十何年ぶんもたまっていました。左義長は本当にありがたい。やっと心が軽くなりました」

 住職の北原さんの師匠は、10年間空き寺だった小松市の大王寺にはいって、少しずつ昔の行事を復活させていた。約10年間無住だった千手院の住職になった北原さんも師匠にならって、まずは年末年始とお盆の行事を復活させた。今回の左義長も、千手院を復興ツーリズムの拠点にしようと計画しているNPO法人「チーム能登喰いしん坊」とともにとりくんだ。
 スダジイの巨樹の樹間からチラチラと陽の光がふりそそぐ。風ひとつない海は鏡のようにきらめいている。行事が復活して住民がふたたび寺に足をはこぶようになり、千手院がよみがえろうとしているようだ。

 集落内の曽良神社も、地震で倒壊した鳥居や燈籠を復旧し、4月2日には2年ぶりに春祭りをもよおすという。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次