年末の12月15日、「能登のムラは死なない」の配達のため金蔵(輪島市)の集会所をたずねた。地震後3度目の訪問だ。
井池光信区長によると、復興公営住宅を集落内にたてることをお願いする文書を13日に市役所に提出したばかりという。復興公営住宅は建設費の3/4を国、1/4を市が負担する。
「資金がたりない」「管理ができない」「高齢化して空き家になる問題もでてくる」……と市役所側は懸念点をあげた。井池さんらは土地はすべて金蔵側が提供することや、地権者の同意書や印鑑証明もすでにあつめたことをしめしたうえで次のようにつたえた。
「家賃の徴収も草刈りも補修も集落でやります。むしろすべてをまかせてほしい」
10軒の入居希望者の希望を建築士がヒアリングして、模型や図面をつくって話しあってきた。金蔵の自治会は任意団体で、不動産を管理する主体になれないから、法人化することもきめた。
地震前、金蔵は53世帯95人だった。現在は25世帯45人だが、仮設住宅に16世帯21人、そのほか3、4世帯は2次避難先からもどりそうだ。周辺の小集落が消滅の危機にひんするなか、1割程度の人口減でふみとどまれそうだという。
井池さんがコーヒーをいれてくれた。炊事場の奥にはカプチーノもできるコーヒーサーバーが設置されている。
4月から9月まで毎週木曜午後、東京からのボランティアが「ふれあい喫茶」をひらいてくれていた。ボランティアがが撤退したあと、おなじ木曜日に集落で「集会所カフェ」をひらくことに。それを知った別の団体がコーヒーサーバーを寄付してくれた。
10月には大阪の生協のグループが集会所で計3回、たこ焼きをふるまってくれた。仮設住宅の住民にも声をかけたら口コミでひろまり、住民は45人なのに180食がはけた。たこ焼きの作り方をおそわり、12月からは「集会所カフェ」でたこ焼きをふるまっている。
「たこ焼きは大人気です。あきるまでつづけると思います。なにかうごいてやっていれば、なにかがおきるもんですねぇ」と井池さん。
外部との「交流人口」をふやしてきた経験が災害後の復興に役だったいるのだ。
「能登のムラは死なない」その後 金蔵・たこ焼き喫茶を開店
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