絶景の橋からギャングの故郷へ NY散歩

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 「ブルックリン橋」が景勝地と聞いて、せっかく晴れたから訪ねることに。メトロを市役所前でおりると、すぐにブルックリン橋だ。左右の車道にはさまれてちょっと高い位置に歩道がもうけられ、カメラをもったハイカーであふれている。

 橋のたまとに昨日みたキング牧師のタワーとおなじ形の集合住宅がならんでいる。十字型の建物は、公団のスターハウスのように風通しを考えたのだろう。

 橋のまんなかでふりかえると、左手はWTC周辺の高層ビル群、海上にはガバナーズ島、さらにむこうの島に自由の女神も望める。自由の女神って岬の先端にあると思っていたが、ハドソン川河口の沖の島にあったんだ。上空には観光のヘリ、川には遊覧船がしきりに往来する。

 30分ほどで川をわたり、上流のマンハッタン橋とのあいだにある川縁の公園へ。マンハッタン側には赤レンガの公営住宅?が林立している。かつては貧しい地区だったのだろう。

 20分ほど歩くとブルックリン中心のダウンタウンだ。近代的なビルがならぶ大通り沿いはつまらないが、ちょっと右に入ると密集した中心街があった。

 黒い網をかぶせられた古びたビルにむかって歩くと、その目の前がborough hall(ブックルイン区庁舎)だった。網かけのビルはいろいろな店がはいった雑居ビルのようだ。

 次は自由の女神を見に行く。
 メトロに乗ってsmith 9streetで降りる。高架の駅からは、倉庫や資材置き場が点在する、港湾独特のすさんだ風景がひろがる。

 海に向かって歩くと、6階建てのレンガづくりの住宅団地がある。さっき川沿いでみた建物とおなじつくりだ。やっぱり公営住宅なのだ。黒人のおじさんたちがベンチでくつろいでいる。窓が割れた部屋もあれば、エアコンの室外機がある部屋もある。夏の暑さはがまんできても、エアコンのない部屋は冬はどうしているのか。石油ストーブがあるのかな。

 倉庫や工場の建物のあちこちに落書きがある。マフィア映画にでてきそうな怪しいバーが1軒だけ昼間っからあいている。


 Redhook(レッドフック)の海辺には、赤レンガの倉庫群や落書きだらけのこわれた路面電車がある。これは立派なアートだなと思ったら、観光名所だった。赤レンガの倉庫の窓の外扉は鉄製で、レンガと黒い鉄の不思議な組み合わせが幾何学的で美しい。

 遊歩道からは、河口の島にたつ自由の女神を正面から望むことができる。
 よくみると、赤レンガの倉庫のひとつはスーパーマーケットで、バーベキューハウスがあり、さらにはビールやワインの醸造所もあるらしいが休みだった。仮設トイレで用を足して30分かけてメトロの駅までひきかえした。


 あとから調べると、レッドフックは1636年にオランダ人によってひらかれ、赤粘土質の土壌と鉤型に突き出た形状から「レッドフック(赤い鉤)」と名づけられた。世界でも有数の港湾として繁栄し、1950年代には2万人超の労働者が住んでいた。有名なギャング、アル・カポネはここに生まれた。ギャング映画にでてきそう、とかんじたのはあながちはずれていなかったのだ。
 その後港湾機能はニュージャージー州にうつって衰退し、治安も悪化したが、1980年代以降、物価高のマンハッタンからアーティストたちが移住してきてふたたび注目されるようになったという。

 メトロを途中でおりてイーストビレッジ公園周辺を散歩する。古びた赤レンガの建物を活用したカフェや飲食店が密集している。公営住宅もあるから、昔は貧しい地区だったのが、ヒッピーたちがつどっておしゃれな街に変化してきたのかもしれない。

 NYUの近くではトランプ政権による外国人学生の迫害に反対するデモをしていた。

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