書店営業体験記 バンセンはご朱印?

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 #能登のムラは死なない の書店営業につきそわしてもらった。
 #京都大学ボヘミアン物語 を2月にだしたとき、チラシ(注文書)をだれにわたしていいやらわからず、お客さんがとぎれたときにレジの人に声をかけた。
「あのー、すいません、私が最近だした本の宣伝にきたんですけど」
 それ以上、なにを言っていいやらわからず、チラシと、本を紹介してくれた新聞記事をわたしてそそくさと退散した。それでも、10店まわったうち4店が発注してくれた。
 農文協のプロの営業マンに金魚の糞のようにくっついて、大型書店をまわった。
 営業は飛びこみのことも多いが、今回は社会科学系の書棚の担当者がいる時間を確認してあるという。ふだんは新刊本の宣伝だけではなく、自社の本が棚にならんでいるか確認し、「欠本」だったらそれを店員さんにつたえて注文をもらうんだそうだ。
 書棚をまわって店員さんがいたら、声をかける。
 「これこれこういう本で……」と説明してどこの書棚におくか、という話をきく。
 農文協の本はふつうは理系の書棚におかれるのだという。
「災害関係ですかねぇ」
「地方自治とかコミュニティの話のほうがいいかもしれませんねえ」
「民俗関係かもしれないし……どこにおくかむずかしい本ですねぇ」
 地震や防災関係は毎年1月、阪神大震災関連の本がでるから神戸ではよく売れる。大阪ではちょっとはうごく。でも「災害」は書棚にならぶ「寿命」がみじかいという。
 「地方自治」より「震災」のほうが売れるのかと思っていたが、そうではないらしい。
 「1月は地震関係の書棚において、その後は地方自治とか農村とかにうつすのがよいかもしれませんねー」
 どの棚におくかで売り上げがかわるから、営業って大切なんだなぁ。目から鱗だ。
 書店員さんが注文書に「3冊」などとしるし、「バンセン印」を押す。「バンセン」って「番宣(番組宣伝)」って意味かと想像していたら「番線」だった。取次会社が書店を、地域ごとルートごとに区分して番号化したもので、販売店の整理番号がしるされている。鉄道駅の「1番線」「2番線」にちかい意味だったのか。
 で、その押してもらった番線印が店ごとに個性があっておもしろい。まるで寺や神社のご朱印だ。ご朱印のかわりに番線印をあつめてもおもしろいかも。

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