タイムカプセルとして広重をみる

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 あべのハルカスへ「広重―摺の極―」をみにいく。
 安藤広重だと思っていたら、今は歌川広重だという。本名は安藤重右衛門。安藤は姓で広重は号であり、両者を組み合わせるのは適当ではないということで、教科書では1980年代に安藤から歌川に修正されたらしい。ちょうどそのころ私は中学・高校生だったが、ギリギリで「安藤広重」と教えられたようだ。
 京都からの舟が発着する大阪の八軒屋、芝居小屋のある道頓堀。比叡山や比良山、瀬田川の橋。静岡の薩埵峠、清見寺周辺、東京の浅草や佃橋、飛鳥公園周辺……。
 今回の作品の描いた場所はほとんど行ったことがあるかるから、タイムマシンに乗って時代をさかのぼっているようだ。
 ただ、剣岳や温泉の煙を描いた立山は、立山曼荼羅のイメージのままだから、おそらく広重は実際に訪ねてない。松の巨木がならぶ参道を描いた出雲大社も想像で描いているようだ。想像で描いたものは、広重ほどの天才でも枠にはまった表現になるんだなぁ。
 昔、あまりまだ日本全国を歩いていないころ「東海道53次」などを見ると、漫画チックな表現にひかれた。いまは自分の記憶にある実際の風景とくらべてしまう。
 歳をくっていろいろみてきたから、こういう鑑賞法になってきたけど、それに引きずられて、アートとして素直に鑑賞できなくなっているのかも。ま、しゃあないな。

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