
ニューヨーク最終日、昔から治安が悪いといわれてきたサウスブロンクスも歩くことに。
地上をはしるメトロの駅をおりると「ヤンキースタジアム」。古い球場のはずだけど白壁の外観は新しい。

メトロに沿って北上すると、東側には赤レンガの公営住宅がつづく。ヤンキースタジアムのちかくは6階建てが多い。

ブロンクスの美術館は残念ながら定休日。
東に20分ほど歩いてから南下する。いたるところ公営住宅だらけ。



メルローズ地区の周辺は、18階建てや25階ぐらいの高層団地が林立する。昔の東京・高島平の団地群を彷彿とさせる。

日本でも公営住宅が密集した地域は、低所得で余裕のない人が多いから、落書きが多くてすさんだ雰囲気になりがちだ。サウスブロンクスは、日本ではほとんど見ることができない巨大な公営住宅地帯だ。幼いころそんな団地にくらしていたから、独特の雰囲気がなつかしい。

ヤンキースタジアムのちょっと南を東西にはしる145ストリートを西にすすみ、イーストリバーにかかる橋をわたると2週間前に散歩したハーレムのマルコムX通りにでた。



昨日、ブッシュウイックで落書きや壁画を見て歩いたから、きょうは落書きと公営住宅、公園の様子ばかりに目がいく。


グリニッジ・ビレッジのワシントンスクエア公園にもどると、身なりのよい若者たちがたむろっている。


さらに夜は、マンハッタン中心部の「The Harvard Club」に招待してもらった。ハーバード大学出身者だけがつかえる施設で、超一等地のビルのなかに、ホールやレストラン、図書室、宿泊施設、カフェ、ジムなどをそなえている。
城のようなホールには、歴代大統領やヘレンケラーら著名人の肖像画、世界の絵画がならび、壁にはなぜかアフリカ象の頭もかざられている。アメリカの超エリートの社交の場なのだ。
ゴージャスで落ち着いたしつらえの高級レストランでは、蝶ネクタイをした中年のボーイが料理やワインの説明をしてくれる。食事もおいしい。でも、息がつまる。
英語をききとれないから会話もはずまない。居心地悪いなぁと思っていたら、招待してくれた先生が、キューバ革命直後にアメリカにきた人だとわかり、スペイン語で会話ができた。心底ホッとした。
ニューヨーク最後の日に、大きな落差を目にすることになった。ここはやはり、よくも悪しくも世界の資本主義の中心なんだな。