
軽く夕食をとってから地下鉄でタイムズスクエアへ。世界一の繁華街は、夕方になってますますにぎわっている。
ブロードウェーはその名とちがってほかの通りよりもせまい。この周辺がブロードウェーミュージカルの本場なのか。
45ストリートという東西の通りにはいると古びた劇場がならんでいる。そのうちのひとつGerald Schoenfeld Theatreは1917年にオープンした。開演30分前の18時半に行くとすでに列ができている。まもなく入場。外から見ると小さいが、内部は2階席もあって1000席もある。平日なのに満席になった。

「Buena Vista Social Club」はライ・クーダーがキューバの古いミュージシャンを発掘して結成したバンドだ。
ライ・クーダーがひとりひとりを訪問して成功するまでの物語かと想像していた。
映画やCDで聴いた歌が次々にでてきて楽しい。主人公のオマーラ役もコンパイセグンド役も雰囲気がほんものそっくり。年老いた老人の所作も本当に老いているようにみえる。最後にその男がキレキレのダンスを披露して心底びっくりした。
ストーリーは予想とちがって、革命前の青春時代と、老人バンドの結成との2つの時間を往復しながら展開する。
若いころのオマーラやコンパイセグンドらははつらつとして音楽の道をすすむ。オマーラはメンバーのひとりと恋をする。
オマーラの妹はアメリカの会社と契約して渡航することに。オマーラもいっしょにいくはずだったが、そこに革命が起きる。妹は最後の飛行機でアメリカにわたり、オマーラはキューバにのこる。
だが革命後、音楽家のつどっていたクラブは閉鎖され荒れはててしてしまう。
キューバ革命を「恐怖」と決めつける演出には問題もかんじるが、歌も踊りも、ギターもピアノも抜群にうまくておもしろい。
最後はカーネギーホールで演奏するという大団円。ハッピーエンドのつくりかたはハリウッド映画パターンだが、そんなことを考えるまもなく高揚感に巻き込まれてしまった。
端っこの席でも120ドル(1万8000円)だったが、高いとはかんじなかった。観客も歌や踊りごとに拍手して、最後は総立ちになって、舞台と一体になる。日本の劇場にはない楽しさだった。

終わると、壁だとおもっていた横の壁が開放され、一気に夜の街にはきだされた
騎馬の警官が闊歩している。

タイムズスクエアは昼間以上に大にぎわいだった。
