fujiman– Author –
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本と映画と博物館
新版 死を想う われらも終には仏なり<石牟礼道子、伊藤比呂美>
■平凡社新書20230320 シャーマンのような石牟礼と、娘世代の詩人伊藤の「死」をめぐる対談。 いつも「死」の隣にいて、死のうとする人によりそい、自らも自殺未遂をくりかえした石牟礼だからこそ、伊藤の「死」についての直球の疑問に真正面からこた... -
本と映画と博物館
評伝・石牟礼道子 渚に立つひと<米本浩二>
■新潮文庫20230317 はじめは新聞記者の文章だなぁと思って読みはじめた。ところがしだいに石牟礼道子や渡辺京二が乗り移ったように現実と幻の境をふみこえたり、もどったりする。 正気と狂気、この世とあの世、前近代と近代、陸と海のあいだの渚。 合... -
中南米
「ラテンアメリカの民衆芸術」は多元社会へのヒントか
■国立民族学博物館 「民衆芸術(Arte Popular)」ってなんだろう? 玩具や装飾品、儀礼用品、装飾品など、「民衆がつくる洗練された手工芸品」だという。 あまりに幅広い「民衆芸術」をいったいどうまとめて、なにをつたえるのか興味があって国立民族学... -
02ルポ
大江健三郎の故郷「谷間の村」の半世紀 にぎやかな村は合併で衰退、ノーベル賞で「役場」復活
大江さんと新倉重高さん=新倉さん提供 大江健三郎さんが3月3日に亡くなった。2002年から05年にかけて、ぼくは大江の小説を読みふけり、彼の故郷の「谷間の村」を何度も訪れた。そこには少年時代の大江さんを「ケンチャン」とよぶ人たちがいた。ケ... -
本と映画と博物館
協同の系譜 一楽照雄<佐賀郁朗>
■(日本農業新聞) 農協の中枢にいて政治とも密接なつながりもっていた一楽照雄がなぜ、政治的には革新に近い、ある意味で農協と敵対する有機農業研究会をたちあげたのか、以前から不思議だった。 この連載は、戦前から「協同組合主義」を体現し、協同... -
本と映画と博物館
ピカソはへたくその代名詞だったのに……「ピカソとその時代」の感想
ドイツのベルリン国立ベルクグリューン美術館のコレクションをあつめた「ピカソとその時代」を見に行った。ほとんどの展示品が撮影可というのがすごい。 子どものころピカソは「へたくそ」の代名詞だった。「うわー、なにこれ、ピカソの絵みたい!」と... -
01旅行記
六甲山中の巨大水車の大工業地帯跡
電気も蒸気機関もない時代、神戸の北に屏風のようにそびえる六甲山中に最先端技術を駆使した工業地帯があった。ここでつくられた産品は「日本一の酒処」である灘五郷や、江戸の照明をささえた搾油業、全国有数の素麺産地うみだした。その原動力は「水」... -
04旅の料理
ゲンゴロウブナの刺身は絶品@木津川
川魚の刺身って、コイとイワナとアユぐらいしか食べたことがなかった。ましてやフナなんて、鮒寿司以外に口にできるとも思っていなかった。 2月上旬「コイを食べられるかも」ときいて、一升瓶をかかえて木津川流域に拠点をおく川魚マイスターのKさん宅... -
本と映画と博物館
ナチスのキッチン「食べること」の環境史<藤原辰史>
日本の公団団地やマンションのダイニングキッチンや「システムキッチン」は、20世紀前半のドイツの合理的キッチンがモデルという。そのキッチンはアウトバーンと同様、ナチスがつくったものだったというストーリーかと思ったらむしろ逆だった。 機械の... -
本と映画と博物館
ETV特集「消えゆく“ニッポン”の記録~民俗学者・神崎宣武~」
宮本常一の弟子だった民俗学者の神崎宣武さんは、郷里の岡山・美星町の宇佐八幡神社で神主をしながら東京を拠点に全国の民俗を調査している。東京の花柳界やテキヤなども調査し、これまでに60冊以上の本を書いてきた。 神崎さんという民俗学者をとおし...