fujiman– Author –
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本と映画と博物館
大重潤一郞監督のドキュメンタリー2作 基地や公害を民俗誌的な深みで描く
1970年代の制作当時未発表だった大重潤一郞監督のドキュメンタリー2本を鑑賞した。以下感想です。 能勢 能勢ナイキ反対住民連絡会議 ナイキJは、アメリカの核ミサイルから核を抜いた国産ミサイルで、1970年に能勢町への配備計画があきらかになった。... -
01旅行記
夕陽の沈む二上山は悲劇の皇子の怨念ただよう西方浄土
大阪と奈良の境にある二上山は、雄岳(517㍍)と雌岳(474㍍)がならぶ双耳峰だ。 飛鳥時代の藤原京(現在の橿原市)をはさんで真東には、神がやどる山として神聖視されてきた三輪山(標高467㍍)がそびえる。二上山から見ると、秋分と春分のときに三輪... -
01旅行記
金星人が降臨した京の異界・鞍馬
遠野のカッパ淵【記事はこちら】をたずねたあと「遠野物語」を読みかえした。人々は河童や妖怪の存在を前提として生きていた。つまり河童は「存在」したのだ。「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」で内山節は、自然や神々、死者とつながる能... -
01旅行記
喜多方の蔵とラーメンと素掘り水路+大内宿
蔵の町をまもった写真店主 2021年5月、二本松市の有機農家の取材のついでに36年ぶりに喜多方を訪ねた。 「あづま旅館」(素泊まり5500円)に荷をおろし、まちを歩くと、土蔵の多さにおどろく。 酒蔵はもちろん、新聞販売店も飲食店もふつうの店も土蔵... -
01旅行記
三陸へ④日本一のサメとカジキ 奇跡の一本松
日本一サメやメカジキがあがる魚市場 JR気仙沼駅から徒歩15分ほどの中心街「魚町」は、ちらほらと居酒屋がある程度だが、海沿いの堤防上にはおしゃれなカフェやFMラジオの放送局がならんでいる。 漁港は、近海の小型漁船から遠洋に行く大型漁船までず... -
未分類
三陸へ③児童ら84人が犠牲になった震災遺構大川小学校
女川から車で50分ほどで、東北最大の河川北上川の右岸にある大川小学校跡に着いた。 雄大な北上川となだらな山のあいだにあり、山遊びも川遊びもできる。1985年に完成した二階建てと平屋の校舎は、こじんまりしていて1年生から6年生までがまじわるのに... -
01旅行記
三陸へ②津波の犠牲者最多の石巻市、門脇小は火災で破壊
津波と火災におそわれた校舎小 役だった避難訓練 松島から北上して石巻市にはいると、だだっぴろい平地に新しい住宅が無秩序に蚕食するようにひろがっている。太平洋から700メートルほどの山際に震災遺構の門脇小がある。震災前は、海までびっしりと町... -
01旅行記
三陸へ①岩窟に石仏 松島の雄島は中世の霊場 津波被害が最小だったのはなぜ
福島は津波と原発事故におそわれた。原発事故がなくて津波の襲来をうけた地域となにがちがうのだろう? 宮城と三陸の海岸をたどってみることにした。まずは名勝の松島をめざした。 福島市から1時間も走ると宮城県にはいる。仙台を高速道路で迂回して... -
本と映画と博物館
グアテマラの虐殺を魔術的にえがく「ラ・ヨローナ〜彷徨う女」<ハイロ・ブスタマンテ監督>
ラ・ヨローナ(泣く女)とは、夫に捨てられた女が、子どもを溺死させて自らも自殺し、ずぶ濡れの白い服をまとう亡霊となってあらわれる、という中南米では有名な伝説だ。ガルシア・マルケスの魔術的な世界にもつながるこの伝説をベースに、グアテマラの... -
本と映画と博物館
異界・怪異は今もつづく……大阪歴史博物館の特別展
岩手県遠野市のカッパ淵は、最近まで河童の存在を信じられていたあかしだった。みなが信じているものは社会のアクターとして「存在」する。怪異現象が「現実」だった時代は実は今もつづいている−−。 そんなテーマをとりあげた大阪歴史博物館の「異界彷...