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日本人の知らない武士道<アレキサンダー・ベネット>
■文藝春秋20240519 著者は剣道・居合・長刀を実践するニュージーランド人の武道家。 新渡戸稲造の「武士道」とは異なり、みずから武道をやっているからこそわかる身体感覚についての記述がおもしろい。 たとえば「残心」。「一本が決まっても、気を抜... -
季刊民族学165 岡本太郎の民族学
■20240518 「芸術は爆発だ」というヘンなおじさん、というのがぼくらの子どものころの岡本太郎のイメージだった。 戦前にマルセル・モースに師事して民族学をまなび、帰納的で具体的な姻族学と、演繹的で抽象な芸術の双方で創的な世界をつくりあげた天... -
古文書返却の旅 戦後史学史の一齣<網野善彦>
■中公新書20240507 東海区水産研究所の一室で1949年、全国の漁村の古文書を蒐集・整理・刊行し、文書館・資料館をつくるという事業がはじまる。研究所の月島分室が担当し、日本常民文化研究所に委託した。 だが1954年度で水産庁は研究所への委託予算を... -
山梨の縄文遺跡
https://youtu.be/OuAyDko1xXw 岡本太郎や梅原猛の本を読んで以来、縄文の創造性にみせられている。2024年5月、山梨在住の友人に地元の縄文遺跡を案内してもらった。最初にたずねたのは南アルプス市の「ふるさと文化伝承館」だ。 干魃と水害の地 ... -
能登2011-24 避難所で痛感「能登はやさしや土までも」 藤平朝雄さん(輪島市町野町)
窓岩の窓がきえた 2014年の窓岩と藤平さん 輪島市町野町の曽々木海岸にすむ藤平朝雄さん(84)は、妻の友子さんと息子夫婦、孫の5人で2024年元日をむかえた。 毎年正月には、窓岩の目の前の海でとれたイワノリの雑煮をたべる。すまし汁の白い餅... -
最澄と空海<梅原猛>
■最澄と空海<梅原猛>小学館文庫 20240429 ▽仏教の流れ 釈迦の言行録の経典をもとに、500年ほど原始仏教(小乗仏教)がつづき、1世紀から3世紀にかけて龍樹らが革新運動をおこす。 欲望を否定して清い生活をしているだけではなく、大衆のなかには... -
能登2011-24⑮先端のムラ、在来大豆で元気に(珠洲市・横山)
https://youtu.be/qy0ZBOAn75w 能登半島の北端ではかつて「大浜大豆」という在来種の大豆が栽培されていた。冬場には豆乳を海水でかためて熱々の寄せ豆腐つくり、囲炉裏端ですすった。高度経済成長をへて姿を消したと思われたが、村おこしの一環で復活。... -
能登2011-24⑭水仙の咲く桃源郷・大西山(輪島市)
https://youtu.be/zlo1LB3x8GA 雪がところどころに残る田の畦で、水仙の葉が頭をもたげ、つぼみをふくらませている。人口わずか50人の輪島市・大西山には4月半ばになると、数万輪の花が咲きほこる。「能登の桃源郷」とよぶ人もいる水仙の里の歩みは30... -
災害と人間 地震・津波・台風・火災の化学と教育<寺田寅彦>
■仮説社 「天災は忘れた頃来る」という言葉で知られる寺田寅彦の災害関連の文章をまとめたブックレット。日本人の忘れやすさを批判する論考は、東日本大震災や能登半島地震を体験した今の時代にこそ読まれるべきだ。 ▽津波と人間 1933年の東北への津... -
江戸という幻景<渡辺京二>
■弦書房 かつて江戸時代は封建的な遅れた体制だと評価されていたのにたいし、最近の江戸ブームでは、江戸時代の近代に通じる部分をとりだして「実は意外に近代的だった」と評する。どちらも近代を基準に過去を評価している。 渡辺は、江戸は、もう二度と...