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日本美術の底力<山下裕二>
■NHK出版新書241117 筆者は、江戸期の伊藤若冲らの絵を再発見した「奇想の系譜」の辻惟雄の弟子だ。江戸期の縄文的な美術の価値をほりおこした師匠の知見を踏まえ、日本の美術を「縄文と弥生のハイブリッド」と断じる。 装飾的でエネルギッシュで自由奔... -
川崎と青山と渋谷の岡本太郎
小田急線の向ヶ丘遊園駅でおりて徒歩30分、首都圏のまんなかの広大な生田緑地に岡本太郎の美術館がある(500円)。 訪ねた日の常設展のテーマは「目もあやなオバケ王国 岡本太郎のオバケ論」。 常設展の冒頭は、漫画家だった父の一平と、歌人で... -
太陽の少年<チアン・ウェン監督>
1994年の中国映画。 舞台は1970年代の北京。文化大革命の時代、大人は政治闘争、青年は農村におくられ、北京のまちは十代の若者が跳梁跋扈していた。毛沢東をたたえる歌などが時代の空気を表現する。 軍用トラックと公共交通機関はあるが、庶... -
奇想の系譜 又兵衛ー国芳<辻惟雄>
■ちくま学芸文庫241103 岡本太郎が縄文を再発見するのと軌を一にして、筆者が伊藤若冲らを再発見したときいて、両者にどんな関係があるのか知りたくて購入した。縄文との直接のつながりには言及していないけど、野卑とか頽廃とかさげすまれていたものの美... -
フランクルとの<対話>苦境を生きる哲学<山田邦男>
■春秋社241029 対話形式で筆者とフランクルのかかわりをたどる。むずかしい内容を対話で反復するから理解しやすい。フランクル関連の本は5,6冊読んでいるから、びっくりする内容はないが、フランクルと西田幾多郎を介した禅の思想の共通点の指摘や、東... -
能登2011〜24 8カ月後の豪雨
団結のムラをおそった濁流 ㊤2012年、㊥2024年5月、㊦豪雨後の2024年10月。豪雨のすさまじさがわかる 輪島市門前町深見は能登半島地震で孤立し大きな被害をうけた。だが、3キロ南の道下地区に仮設住宅ができると24軒が2次避難先からかえり、大規模... -
復活の廃寺に蛸みこし 穴水曽良の千手院で「いのちの研究会」
穴水町曽良の海臨山千手院は住職がいなって檀家はゼロになり、縄文焼きを制作していた新出良一さんが2017年に亡くなったあとは荒れるにまかせていた。この廃寺に2024年元日の能登半島地震後、北原密蓮さんが住職に就任し、穴水町でガソリンスタ... -
自分とかないから。<しんめいP著、鎌田東二監修>
■サンクチュアリ出版2410 東大法学部をでて一流IT企業にはいったはいいけど、組織でうごくことができずすぐに退職し、田舎にいこうと奄美大島に移住するけど、それも失敗、芸人をめざしてR1グランプリにでるが笑いのひとつもとれず敗退。離婚して、32... -
夜と霧 フランクル NHK100分で名著<諸富祥彦>
フランクル関連の本は5,6冊よんでいるから、内容に新鮮味はないが、簡潔にフランクルの思想をまとめていてわかりやすかった。 みずから活動することによって得られる「創造価値」が失われても、だれかと深く愛し合えたという思い出があれば「生きて... -
能登2011-24㉒「塗師屋」がそだてた輪島塗
「能登の食」を語るとき輪島塗は欠かせない。家々の蔵には赤や黒の膳があり、夏祭りではそれに「ごっつぉ」を盛ってふるまう。浄土真宗の寺の「講」でも、輪島塗の膳に煮物などがならぶ。 なぜ、輪島に輪島塗がそだったのだろう。 塗師屋は総合プロデュ...